今日もあの人が競馬新聞を買いに来た。いつもと同じお昼ちょっと前に。
わたしは桂駅の前のコンビニで先月からバイトしている。新聞を買いに来る人はたくさんいるけれど、スポーツ新聞と競馬新聞を買いにくる人の顔は覚えてしまった。競馬新聞は買いに来る人がほとんどいなくて、高木さんはいつも決まった時間に買いに来るから、わたしの記憶の中に残った。
店長が高木さんという名前も教えてくれた。高木さんは有名な会社を定年退職して今は一人暮らしをしている。奥さんは3年前に出て行った、と店長は言っていた。高木さんはそんなに自分のことを話すようには見えなかったけれど、店長は詳しく知っていた。
隣町に娘さんがいて、週に一度はたずねてくる事も。高木さんと競馬というのが結びつかなかった。競馬に偏見があるわけではないけれど、高木さんならゴルフとか盆栽とかそういう趣味のほうがあっているような気がした。
今日も時間通りに新聞を買いに来て、何も言わずにお金だけ置いていった。
